おぎのけんの ブログ

チェロ演奏と弦楽器製作そして子育てと糖尿病とかいろいろ

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村]

弓の毛替え 黒い毛 白い毛

弓の毛替えと新作弓の毛の初張りを今日はやりました

 

まずは毛束から必要量を取り

選別作業をします

f:id:vcken:20190828191727j:image

f:id:vcken:20190828215319j:image

 

 

 

糸で縛って外れないように処理します

f:id:vcken:20190828191816j:image

 

 

切り揃えたらライターで焼いて端が玉になるようにして外れないように処理します

f:id:vcken:20190828191930j:image

 

 

次はフロッグの楔を作ります

f:id:vcken:20190828192151j:image

 

これは楔の裏面、毛を押さえてある方です

少し丸く削って毛束が収まるように作っておきます

 

 

そして毛束を入れて押さえます

f:id:vcken:20190828192330j:image

 

 

毛束が入ったら貝の装飾を付けた板をスライドさせてはめますが

毛が挟まらないようにするのがとても難しいです

 

生徒さんに教えてもなかなか上手くできないですね

f:id:vcken:20190828192556j:image

 

 

ちなみに今回預かっているバロックボウにはこの作業が無いので楽です

f:id:vcken:20190828192718j:image

 

 

上手くはまったら半月リングをはめますが

毛を全部通すのにはちょっとコツがいります

 

向きも決まっているので要注意です

弓先側は角が痛く無いように少し削ってあります

f:id:vcken:20190828192946j:image

 

半月リングがはまったら楔を作ります

f:id:vcken:20190828193039j:image

 

とっても薄いです

これはきちんと作って上手くはめるのはとても難しい作業です

 

処理が甘いと弓を張った時に出て来る時があります

ちなみにこれは僕がやったやつではありません

f:id:vcken:20190828214020j:image

 

 

弓が壊れたと慌てる人もいますが

 

心配ご無用

 

押し込むだけです

 

 

このように毛が均一に平らになるようにいれたら軽くカナヅチで叩いて入れます

f:id:vcken:20190828214334j:image

 

 

後は要らない部分を綺麗に切り取ります

 

 

フロッグは以上です

 

 

次は毛の長さを決めます

 

僕は革をはさんで傷がつかないようにして万力で作業します

 

ずっと行っていた楽器屋さんがやっていたのでそうしています

f:id:vcken:20190828214656j:image

 

 

水で濡らしつつ何度も何度もクシを通して整えます

f:id:vcken:20190828214802j:image

 

クシは3種類使ってますよ

f:id:vcken:20190828214849j:image

 

長さ決めは経験が必要です

 

毛は馬の尻尾の毛ですが

 

 

使ったら伸びます

 

乾燥したら縮みます

湿度が高いと伸びます

 

楽器の差、使用者のクセ、これからの季節の湿度の具合なんかを考えて長さを決めます

 

 

長さが決まったらフロッグの時と同じように糸て縛って処理をします

 

弓先も楔で毛束を押さえます

f:id:vcken:20190828215640j:image

f:id:vcken:20190828215653j:image

 

バロックボウもモダンボウも同じやり方です

 

ただし、この楔を作るのには相当な技術が必要です

 

なにせ小さい

 

ゆるいと外れる

 

キツイと入らないか、無理して入れると弓が割れる可能性があります

 

f:id:vcken:20190828215924j:image

 

 

これで毛が張れました

 

外したフロッグを元に戻して

きちんとできたかチェックです

 

気に入らない時はやり直します

 

 

 

弦楽器をやっている方は楽器屋さんに行くのはこの毛替えが一番多い方もたくさんいると思います

 

 

僕もかつて楽器屋さんに行っていたのは、ほとんど毛替えだけでしたね

 

 

僕は楽器や弓を作ったりしていますが

個人的には毛替えが一番難しい作業だと思っています

 

もっと上手になりたいと常々思っています

 

 

職人さん達が一生懸命毛替えをした弓をぜひ大切に扱ってあげて下さいね